研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、高コレステロール摂取による歯周病増悪の機序を、ラットモデルを用いて解明することである。本年度は、歯周炎モデルラットを高コレステロール食群(実験群)と標準食群(対照群)の2群に分け、比較検討を行った。上顎口蓋側歯肉に歯周病病原因子(E.coli由来リポポリサッカライド溶液とS.griseus由来プロテアーゼ溶液)を1日1回塗布して歯周病を誘発させた。なお、実験期間は8週間とした。8週間の実験期間の後、ラットを屠殺し、採血と歯肉のバイオプシーを行った。血液サンプルについては、血清中の酸化ストレス濃度を8-デオキシグアノシン(OHdG)を指標にして定量した。また、歯肉組織中のミトコンドリアDNAを抽出し、その中に含まれている8-OHdG濃度を評価した。さらに、歯肉の組織標本を作製し、抗tumor necrosis factor-α(TNF-α)抗体を使った免疫染色を行い、単位面積(0.1mm×0.1mm)あたりのTNF-α陽性細胞数を計数した。その結果、実験群の血清8-OHdG濃度は対照群よりも高い値を示した。歯肉中の8-OHdG濃度に関しても同様の結果が表れた。さらに、対照群よりも多いTNF-α陽性細胞が実験群において観察された。近年の研究から、酸化ストレスはTNF-αなどの炎症性サイトカインの産生を促進させることが分かっている。本研究の結果は、高コレステロールの摂取は、酸化ストレスの増加を介して歯周病を悪化させることを示唆している。
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