研究概要 |
産後の女性が電話相談、育児相談等のサービスに対して、どのくらいの費用負担をしてもよいと考えているかを明らかにし、これらのサービスに対する対価からどのような人員配置が可能であるかをシミュレーションすることを目的に調査を行った。 対象は調査協力の得られた施設で分娩をして産褥1ヶ月健康診査を受診した女性205名である。調査内容は、年齢、分娩回数、家族構成、最終学歴、就業の有無、世帯収入、価格算出については産褥施設、電話相談、外来での育児相談と母乳相談、家庭訪問について質問した。 その結果、産褥施設は8000円から20000円の間、電話相談は800円から1300円の間、育児相談は1300円から2500円の間、母乳相談は1500円から2600円の間、家庭訪問は2000円から3000円の間にその価格を設定することが妥当であるという結果を得た。 この結果を踏まえ、助産師の時給を2000円、1ヶ月の分娩を50件とした場合のシミュレーションをした。産褥施設では1032時間分、電話相談では一人につき2回行った場合45時間分、育児相談では一人につき1回行った場合37.5時間分、母乳相談では一人1回行った場合45時間分、家庭訪問では一人1回行った62.5時間分の収入を見込むことができた。 産褥施設でのケア時間は18年度に実施した直接ケア時間のタイムサンプリングを参考に、1ヶ月の延ベケア時間を215時間とした。助産師1人が1日8時間勤務をして、うち直接ケア時間を5時間とした場合、1ヶ月あたり述べ43人分の収入が必要とり、688,000円の人件費が必要である。よって、1,376,000円が余剰となる。電話相談では、相談およびその記録を30分と仮定すると人件費は10,000円が不足する。育児相談では相談およびその記録を45分と仮定する人件費はプラスマイナス0円となる。母乳相談では乳房のケアおよび記録を45分と仮定すると15,000円が余剰となる。家庭訪問では訪問時間を60分と往復の時間を60分とすると75,000円の不足となる。電話相談および家庭訪問は母親の支払ってよいとう値段ではサービスを提供することが困難であることが明らかとなった。
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