本研究では、若年妊娠先行婚夫婦が妊娠・出産・産褥という変化を経て、その経過の中で経験する生活の変化と、親となる過程を明らかにすることを目的した。昨年度は妊娠先行婚に対する海外の支援制度や支援プログラムなどに関する研究の動向を比較検討を行った。本年度はアメリカワシントン大学における「Becoming Parents Program」についてその内容を検討し、妊娠期の親となる準備支援の方策について検討した。内容としては、父親に育児人形を使った新生児のイメージング、育児行動に関する知識・技術の提供などを含んでおり、今後の研究活動においてこれらを提供しながら効果を検証していく必要が示された。 ケースについては、前年度から継続しているケースを追跡し、育児が半年となる時点まで追跡を行った。このケースは双方が19歳の時点で妊娠が判明し、その後結婚、妊娠、分娩、育児を経験している。同時に彼らは学生生活も経験していた。前年度までの時点で、夫の妊娠の需要は比較的早期であり、妊娠・分娩・育児についても積極的にパートナーを支え、自分のこどもに対する愛着を深め、学業も順調に継続させていた。一方妻は、分娩による学業の中断を経験しながらも、夫と実母、義母、伯母の心身に対するサポートや、保育施設など社会的資源を活用しながら学業を両立させていた。特に生活面では、家族としての生活を営むために、家事や育児について夫と互いに状況を常に調整しながら徐々に生活を安定させていた。しかし、初めての育児については不安も多く、児の成長発達に関する相談や母乳育児の継続に関連する相談、保育施設や社会資源に関する相談などが産褥6ヶ月までに行われ、看護的なこれらの相談に対する支援により、彼らは自分たちで育児に対する指針を提示し、行動できるようになっていった。このことにより、このようなケースに対する看護支援の有効性が示唆された。
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