研究概要 |
調査(1) 【目的】(1)臓器提供の意思決定に影響する要因(2)15歳未満の子どもからの臓器提供に関する認識(3)臓器提供意思と死に対する態度との関連を明らかにすること。【方法】3県の看護学生,移植施設・総合病院・老人福祉施設の職員,小中学生をもつ保護者1900名を対象に無記名自己記入式アンケートを行った。【結果】(1)臓器提供意思と「属性」「脳死の知識」「臓器提供に関する知識」には関連がみられなかった。影響要因(複数回答)は,テレビ(53.2%)が多く,次いで死別体験(41.2%)であった。生と死に関する家族との会話が多い者ほど臓器提供に肯定的な考えを示していた。(2)15歳未満児からの脳死下臓器提供に関する認識は,「属性」による違いはみられなかった。34.7%が本人の意思を尊重したいと考えており,家族が判断するべきと答えた者は21.2%であった。子どもの臓器提供に関わる自己決定に必要なことは,「生と死の教育」(85.3%),「臓器移植の教育」(72.6%)であった。(3)死に対する態度が肯定的な者は,意思表示カードの所持率が高く,臓器提供に対して肯定的な態度を示していた。また,生と死や臓器移植に関する家族との会話が多かった。 【結論】小中学校等で生と死・移植に関する教育を実践することで正しい知識の普及と加増で話し合う機会が増加し,臓器提供に関わる意思決定の促進へとつながる可能性が示唆された。 調査(1) 【目的】ドナー家族の臓器提供意思決定過程を明らかにすること。【方法】ドナー家族3名に半構成的面接を行い,得られたデータを質的帰納的に分類した。【結果および考察】医療者から臓器不足や臓器提供により助かる命があることを強調されることで迷ったり,憤りを感じており,家族の悲しみに寄り添い共感することが重要と考える。ドナー家族同士の交流や悲嘆ケアの有無が提供後の満足度に影響しており,継続ケアの必要性が示唆された。
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