【目的】本研究では表在性の痛みとして病態の把握が可能な褥瘡部の痛みに焦点をあて、生理学的側面と看護師の捉える患者の痛み表現の2側面から痛みを訴えることのできない高齢者の痛みの実態を明らかにすることである。 本年度は、褥瘡をもつ認知症高齢者(遷延性意識障害患者)の痛みに対する実態を調査し、アセスメント指標を得る。また痛み刺激による生理学的反応を明らかにする。 【方法】1.褥瘡をもつ認知症高齢者の痛みの実態調査し、痛みのアセスメント指標を抽出する。 対象:認知症高齢者(遷延性意識障害患者)8名 手順:褥瘡ケア中に起こった痛みに関する反応を言語化し、アセスメント指標を抽出する。 2.痛み刺激による生理的反応を調査する。 【結果】1.褥瘡をもつ認知症高齢者について前年度で明らかにした痛みのアセスメント指標との関係を明らかにした。その結果、前年度同様に言語的表現、非言語的表現に分けられた。言語的表現は、『叫び』、『独語が早くなる』、『大声』であった。非言語的表現は『表情の変化』、『瞬間的な自動運動の開始』、『生理的変化』であった。しかし、今年度は褥瘡患者の入院が通年より少なく、対象数を30名と目標にしていたが目標には到達することができず、一般化には困難であった。 2.痛み刺激による生理的反応を脳波計と心電計から得ようと試みたが、実験機器の故障や対象数の少なさから、目標人数に到達することができなかった。
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