研究概要 |
本研究課題の目的は、在宅要介護高齢者の介護サービス利用状況と身体・精神・心理機能・QOL等の健康指標を3年間にわたって縦断的に評価することにより、高齢者が受ける各種介護サービスの効果を明らかにすることである。平成17年度は、在宅高齢者を対象とした質問紙調査によりベースラインとなるデータを取得するとともに、3年間の縦断研究が可能なコホートを確保することを目的に研究を実施し、238名のベースラインデータ、及び、研究への同意を得た。 その結果を受け、最終年度である平成19年度に要介護高齢者の縦断的評価を目的とした追跡調査を実施することとし、平成18年度は平成19年度の追跡調査に使用する調査票の開発のために、地域で活動する介護支援専門員(ケアマネージャー)を対象として、在宅要介護高齢者に関する面接調査を行うことを目的として研究を行った。面接調査は、半構造的面接法により収集したデータを質的帰納的に分析するという質的研究デザインにより、介護支援専門員3名を対象として実施された。介護支援専門員に研究協力を依頼する際には,面接時の質問内容,データの取り扱い,プライバシーに関する項目を研究依頼時に文書と口頭で伝達し,面接開始直前に了解を確認した。データ分析はグラウンデッドセオリー法(Glaser, Straus)を参考とした質的帰納的分析により行われ、介護支援専門員の業務経験の中で要介護度が改善した高齢者に関する事例の共通要素が抽出された。この結果は平成19年度に実施する追跡調査に用いる調査票の開発に有用と考えられた。
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