研究課題
特別研究員奨励費
黒毛和種牛のライソゾーム病については、全ゲノム解析データに基づいて、約60種のライソゾーム病関連遺伝子の中から、症例子牛がホモ接合型かつ父牛がヘテロ接合型のスニップが散在しているCTSA遺伝子について、特にプロモーターおよびイントロン領域を解析して変異候補となる配列異常を検索した。その結果、前年度の候補変異(c.1252-12C>G)以外に、エクソン1の近傍のイントロン1上に候補変異となるc.1-151C>Tを同定した。この候補変異の遺伝子型を識別するTaqManプローブを作成して、臨床的な健康な黒毛和種集団をリアルタイムPCRで調査したところ、同変異を保有する牛が一定の比率で存在したため、同疾患の原因にはなっていないと考えられた。さらなる調査が必要であると考えられた。黒毛和種牛の虚弱子牛症候群の主要原因となっているイソロイシルrRNA合成酵素(IARS)異常症の変異(c.235G>C)を識別するTaqManプローブを作成して、同疾患の変異が同定される前後(2009および2018年)の集団について、リアルタイムPCRを用いて調査した。その結果、キャリア率は2009年で6.9%であり、2018年で1.5%と低下していた。また、ヘテロ接合体キャリア牛の繁殖成績を野生型の牛と比較したところ、有意な差は認められなかった。これらの結果から、同疾患の変異アレル頻度は着実に減少しており、また、キャリア牛の繁殖成績に問題がなかったため、キャリア牛を緩徐なペースで繁殖牛集団から除外していくことで疾患予防が達成されると期待された。犬のオロット酸尿症およびメチルマロン酸尿症では、明確な変異候補を見出すことができていないが、ライソゾーム病に関して候補となる変異を同定したため、現在、その確認を実施している。さらなる研究が必要であると考えられた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 7件、 招待講演 5件)
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