研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、近世のアジアの陶磁器貿易を通して、日本とベトナムの文化的交流を明らかにすることを目的としている。フィールド調査や資料収集を通して、以下の3つのテーマの研究を行なった。一つめは日本とベトナムの陶磁器生産地の比較研究である。江戸時代の日本磁器の主要産地である有田、波佐見、三川内とベトナムの主要産地であるハノイ郊外のバッチャンの比較を行なった。製品については主に文様に着目して、その起源や変遷を明らかにした。また、それぞれの生産地の民俗学的調査も行い、伝統技術の継承、生産の形態、産地が抱えている諸問題について考察した。二つめは日本・ベトナム出土の日本磁器の調査研究である。日本国内の江戸や大坂の消費地遺跡、日本本土と東南アジアの中間的様相をもつ沖縄における出土状況、ハノイの都市遺跡における陶磁器出土状況の調査を行なった。そして、ベトナムのハノイやホイアンから出土している日本磁器の調査を行なった。両者の比較を行い、日本とベトナムそれぞれの食文化の特質を考察した。三つめは日本とベトナムの磁器普及の比較研究である。17世紀後半の日本磁器の大量輸出時代の後、日本と東南アジアは同時に磁器の使用が急速に普及していった。それぞれの歴史背景を調査するとともに、共通する東アジアの歴史背景を考察した。まず日本の磁器普及に大きな役割を果たした波佐見の粗製磁器「くらわんか」を中心にその変遷を調査した。次に波佐見系の技術が伝播した四国の砥部焼の産地調査を行なった。結果として17世紀後半の有田を中心とした海外輸出時代、18世紀の「くらわんか」碗・皿の時代、そして、離島でも磁器が焼かれる19世紀の地方窯の時代を経て、磁器が普及していったことがわかった。一方のベトナムでは、バッチャン焼などの産地の成長とともに18世紀以降の中国の粗製磁器の大量流入によって磁器が普及したとみられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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金沢大学考古学紀要
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多文化社会研究
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