研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、化石類人猿の四肢骨格の形状がもつ適応的意味を、比較解剖学的方法と工学的方法から分析し、その結果をもとに系統種間比較法を行って、現生ヒト上科の後肢骨がいかなる進化過程を経て今日の状態に至ったかを復元することである。 スペイン、バレ・ペネデス盆地(1200万から900万年前)から得られた化石類人猿の後肢骨格の形態調査をミゲル・クルサフォント古生物学研究所で行った。ドリオピテクス・フォンタニとヒスパノピテクス・ライエタヌス大腿骨頸部内部の骨質分布を比較し、ほぼ同時代のこれらのヨーロッパ類人猿において、前者はより祖先的四足運動者の特徴をもつことを示した。これらと比較する上で、より祖先的な化石類人猿資料を分析することが重要である。アフリカ化石類人猿ナチョラピテクス(1500万年前)は豊富な資料から知られているにもかかわらず、その系統的位置が確立していなかった。昨年、頭蓋骨の特徴から、この種が大型類人猿の系統の根幹に位置することを決定づけ、系統種間比較法に基づく分析に格段の進展をもたらした。ケニア国立博物館で三次元スキャナーによる外部形態の計測をし、これまで収集していた内部構造データを併用しながら分析を進めた。ナチョラピテクスの大腿骨を対象とした詳細な報告論文は投稿中である。 その他、ナチョラピテクスの上肢骨の機能形態に関する論文を発表した。この論文において、ナチョラピテクスには、後肢よりも前肢において多くの派生的特徴が認められること、スペインの後期中新世から知られているプリオバテス(テナガザル類の分岐に近い)と比較した場合、双方の系統で独自に異なる派生的特徴が進化していることを示した。バレ・ペネデス盆地の化石霊長類産地の年代について、生層序と古地磁気層序から包括的検討を行った研究を発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (7件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 4件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)
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