研究実績の概要 |
国語科の授業で, 「深い学び」を実現するために思考ツールを活用した支援を行い、その効果を検証した。 「深い学び」を実現するために重要なのは、まず、他者との対話の中で自分の考えが揺さぶられ、新たな認識が芽生えることである。そのためには、対立点や論点を明確にし、互いの意見を磨き合わなければならない。そして、自己の学びやその方略の変容をメタ認知し、学びの経験として意味づけし、価値を実感することも不可欠である。思考ツールは、考えを視覚化し整理できるだけでなく、他者との意見の差異が明確になるため、コミュニケーションを活性化するツールにもなる。 以上のことを検証するために、第3学年3クラスを対象に臨床研究を行った。誰でも対話に参加し、対立点や論点が明確にできるようにベン図・マトリクスを用いた。その授業の発話を文字に起こし、カテゴリーに分類して検証した。また、単元後に授業ごとの振り返りを俯瞰させ、自分の学びや自分自身が単元前と比べてどのように変容したかを意識して書くために、ストーリーマップを活用した。単元後の振り返りに、どのような内容が記述されているかを分析した。 ベン図・マトリクスで整理することにより、国語に苦手意識をもっている生徒も文章表現をもとにイラスト等で表出できるくらい自分の小説世界をイメージすることができた。対話が苦手な生徒もベン図を見せるだけでその記述について質問されるので、他者と交流することができた。また、単元後の振り返りにおいても、初発の感想と比べた読みの深まりや変容を記述できただけでなく、友人の意見を引用し、そのときの自分の気持ちや様子までいきいきと記述することができていた。 以上、実践の結果から、思考ツールによる支援は、有効であったことを示すことができた。 実践の詳細は, 2018年6月8日(金)開催の香川大学教育学部附属坂出中学校研究大会の『研究紀要』で発表する予定である。
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