【研究の目的】 本研究は、理科授業において児童が問題解決過程の妥当性を吟味しながら主体的に問題解決を行い、深い学びが達成できるようにするための教師の働きかけとその効果を明らかにすることを目的とした。 【研究の方法】 研究の方法は、(1)「学びの文脈」「教科の本質的な問い」に関する理論研究、(2)問題解決の妥当性の吟味に関する批判的思考の理論研究と授業レベルに具現化する方法の考察(3)小学校第3学年3クラスにおいて4単元、第4学年3クラスにおいて5単元で授業検証、(4)授業記録ビデオ、児童のOPPAシート、自己評価アンケート、振り返りシートの分析の4つを中心に研究を進めた。 【研究の成果】 研究の成果として、①「学びの文脈」を設定した授業を構築し、実践することで、児童は日常の文脈と科学の文脈を相互に行き来し、理科の見方・考え方を働かせながら、事象を関係づけて思考し、深く学ぶことが明らかとなった。②問題に対する児童の予想(描画)について、実験結果を見る視点を明確にすることで児童は、緻密に実験を行い、自ら結果の妥当性を検討することが明らかとなった。③問題に対して児童が発想した実験方法で検証することと、全ての結果・判断をマトリクスに表現し共有することで、対話が活性化され、実験方法の妥当性を吟味したり、結果を批判的に考察したりする姿が見られ、深い学びが達成できた。④年間を通して、①~③の手立てを取り入れた授業を繰り返し実践した結果、授業前よりも授業後の方が「緻密に実験をする力」「実験方法や結果を批判的に吟味する力」が伸びたことが児童の自己評価より示された。
|