研究実績の概要 |
1. 研究の背景・目的 技術者は多面的・複合的な考え方ができることが必要である. そこで本校でも専門を学び始める時期に, 技術者倫理に関する教育を行っており, 化学系の学生に対して, 化学物質が人間社会に与える恩恵・有益性と環境への影響について認識させる. 学生が日頃より社会への関心をもち, 技術者の社会的責任について理解させる. また, 専門をより深く学ぶためには, 受け身ではなく主体的な学習が必要であり, グループ学習によって課題把握や問題発見能力, コミュニケーションカなど社会人としてのスキルを身につけさせることを目的としている. 2. 研究実施内容 外部講師による特別講義「歴史に学ぶ科学・技術と倫理」を実施し, 科学とリスクについて学んだ. 化学物質の利用・開発に関する様々な社会問題を調査させ, このとき指導者は調査内容・方向性の確認を行い, 考えを深めるためのヒントを与える. 学生は知識を再構築し, さらに調査を進めた. 最後に「今後同じような問題を起こさないために自分達ができること」について, グループの意見をまとめ, 発表させた. 発表後は, グループ毎の振り返り及び個人の振り返りを行い, この授業を通して何を学んだか自由記述式のレポートを提出させた. 3. 研究成果 グループ発表の記述より, 批判的な思考力や倫理観, 技術者としての視点で環境や人への配慮が必要であると述べている. また個人の振返りでは, リスクの考え方やグループワークのメリットについて言及している. 授業アンケート結果では, 受講前と比べ技術者倫理の重要性や社会的責任について, ほとんどの学生が分かるまたは説明できると回答した. 教育効果としては, 多面的な考え方, 思考力, チームで働く力などの社会人基礎力を身につけ, 学生自身が主体的な学びができたと考えている. この結果を, 実験・実習技術研究会にて報告した.
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