本研究の目的 本校の工学実験の機械加工分野のテーマである「ドリルによる穴あけ加工時の切削抵抗の測定」ではドリル切れ刃の幾何学的形状が加工品質等に及ぼす影響を理解させることを目的に実施している。学生が実験時にドリル切れ刃を研削することで理解度がより深まるが安全性や技術的や時間的にも困難である。現状は筆者の手作業による研削作業で対応している。毎回の手作業の研削作業後のドリル切れ刃の幾何学的形状に違いが見られ、穴あけ加工時の実験データにも違いが見られる。本研究は、手作業でのドリル切れ刃の研削作業を機構化し、熟練度のない学生でも安全で正確なドリルの研削作業ができ、切れ刃の研削機構と幾何学的形状の理解度が高められる機構学と機械加工分野の技術者を育成する教育用ドリル研削装置の開発を目的とする。 方法 手作業のドリル切れ刃の研削作業を機構化し、広範囲のドリルの直径や長さに対応しドリル切れ刃の幾何学的形状を任意に変更できる仕様の教育用ドリル研削装置を設計し、既設の工作機械により部品を製作した後に組み立て作業を行う。また、本研究で開発したドリル研削装置によるドリル切れ刃の研削作業を行い、研削後のドリルの性能検証として既設の動力計にて穴あけ加工時の切削抵抗を測定する。 成果 ドリル切れ刃の研削機構と幾何学的形状の理解度が高められる教育用ドリル研削装置の開発を目的とし製作を行った。開発した研削装置による研削後のドリルを使用し穴あけ加工時の切削抵抗の測定を行った。その結果、手作業による研削後のドリルの場合に比べ安定した切削抵抗のデータが得られるようになった。本研究で開発した研削装置とドリルの検証結果と共に工学実験で紹介した。熟練度のない学生でも開発したドリル研削装置を使用することでドリル切れ刃を正確に研削できるようになり、ドリル切れ刃の研削機構と幾何学的形状の理解度が深まった。
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