研究実績の概要 |
LTGは双極性障害において標準治療とされる薬剤の1つであり、治療ガイドラインにおいて大うつ病エピソードの治療および維持療法として、単剤および他剤との併用による使用が推奨されている。しかし、もう一つのLTGの適応疾患であるてんかんにおける治療濃度域は報告されているが、双極性障害におけるLTGの血中濃度と効果や副作用との関係については十分に研究されていない。 本研究は, 双極性障害患者におけるラモトリギン(LTG)の血中濃度を測定し、治療濃度域を明らかにするとともに、体格や併存疾患などLTGの血中濃度の変動因子についても調査することを目的とした。特に、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A4、UGT2B7の遺伝子多型がLTGの血中濃度に変動因子として寄与したということもこれまでに報告されている。有効血中濃度とその変動因子を明らかにすることで、LTGの血中濃度の測定意義を明らかにし、患者への薬物療法への寄与を図る。 本研究を実施するにあたり、遺伝子情報を取り扱うこととなるため、ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会に研究計画書を提出し、現在ヒアリングの後の修正を実施している。 臨床サンプルを用いた研究を実施するに当たり、市販血液を用いUGT1A4ならびにUGT2B7の遺伝子多型の解析法(RFLP法)の手技を確立した。また、検体のラモトリギン血中濃度の測定法としてHPLC法を用い適切な条件設定を確立した。今後、ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会にて承認の後、患者からサンプルを入手し解析を実施していく予定である。
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