【研究目的】 臨地実習での学生から検査室に対する実習内容等の評価は、実習後のレポートや自由回答アンケートのみである。それらは内容が文章であり、概要が把握しづらく、検査室は実習での良い点・改善点を明確に認識できない現状がある。そこで有用と考えられる手法としてテキストマイニングがある。テキストマイニングは、文書から単語を抽出し、出現頻度や共出現の傾向等の解析を通して有用な情報を見出す手法である。本研究では、テキストマイニングを用い、学生からの臨地実習における検査室の評価を解析し、自施設の良い点、改善点の明確化を行った。 【方法】 2016年度臨地実習生より当院に提出された実習後アンケート(有効回答数31)での自由記載欄(良かった・有意義だった点)をテキストマイニングソフトにて分析した。分析手順は、形態素分解を行い頻出単語のリスト化、同義語・複数語・除外語の抽出といった事前処理を行った。事前処理後、再度形態素分析を行い抽出語の頻度分析、共起ネットワーク分析及び多次元尺度構成法(MDS)にて抽出語同士の関連性を解析した。 【結果】 良い点として、微生物検査室における患者検体を用いた細菌同定等、患者のデータを用いた生理機能検査の症例問題、検体検査室での講義や就職に関する話、病理部における剖検の見学等が推察された。この結果より、講義では得られない病院でしか出来ない経験や知識が学生に支持されていると考えられた。一方、改善点として自習時間や待機時間が多い点、忙しい部門と余裕がある部門の差が大きい点、実習や学生に関する技師同士の会話が気になる点であると推察された。これらを踏まえ、自習時には患者データを基にしたR-CPC等の問題を出題すること、手術部見学など病院でしか得られない経験を増やすことなどで学生の実習における満足度を上げるには有効であると考えられた。以上、本検討よりテキストマイニングにより当院での実習における、「良い点・改善点」が明確化された。
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