研究課題
基盤研究(A)
PASタンパク質およびロドプシンタンパク質について、機能発現のトリガーとなる変化からそのキーステップに至る過程において、複数の機能部位に起きる構造変化を多面的に観測し、複数の機能部位間の連動性を明らかにした。並行して、明らかになった連動的な構造変化とタンパク質の機能活性の相関を定量的に調べ、どのような構造変化がタンパク質機能を生み出す鍵であるのかを同定した。さらに、鍵となる構造変化の同定に基づき、新規機能をもった人工タンパク質の創成を行うことで、分子機能を生み出す連動性機構を明らかにした。
化学の進展によって、化学者はある機能を持った分子を設計し、それを実際に合成することができるようになった。しかし、複数の機能単位を組み合わせ、互いに連動する、より高度な機能分子を創ることはいまだに困難である。それは合成の技術的な難しさのためではなく、連動させる原理がわからないためであり、原理がわからなければ設計のしようがないためである。タンパク質は高度な連動性機構を持っており、本研究で得られた成果は連動性をもった機能分子を設計する重要な知見を与える。
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