研究課題
基盤研究(A)
本年度は多孔性高分子を対象に、骨格及び細孔をテーラーメードでつくることを念頭に、分子設計指針を確立することを目指した。具体的に、二酸化炭素を吸蔵するため、どのような骨格構造が必要かについて検討した。そのため、二酸化炭素と相互作用を有するトリフェニルアミンをビルディングブロックとして用いて、重縮合反応を行い、一連のトリフェニルアミン含量が異なる結晶性有機多孔骨格構造体を構築した。結晶構造はx線構造解析と大規模計算による構造シミュレーションを用いて同定した。窒素ガスを用いて等温吸着曲線を測定した。これらのデータに基づいて、表面積、多孔容積および細孔サイズを算出した。さらに、二酸化炭素の吸着特性について検討し、構造との関連について考察した。トリフェニルアミンユニットの含量が増えるに連れて、二酸化炭素の吸着量も次第に増大したことを見い出した。個々のトリフェニルアミンユニットでは二酸化炭素との相互作用が限られているが、結晶性有機多孔骨格構造体ではトリフェニルアミンユニットが高密度で配列されているため、集合的な相互作用が生まれ,二酸化炭素の吸着量を3倍も向上できることを突き止めた。このことから、トリフェニルアミンユニットが極めて有効であることを示した。さらに、細孔容積との相関を検討した。そに結果、細孔容積が大きくになるにつれて、二酸化炭素の吸蔵量が向上することを示唆した。すなわち、二酸化炭素の吸蔵は骨格構造に左右され、また細孔容積にも大きく影響されることを明らかにした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Chem Commun
巻: 53 ページ: 4242-4245
Angew. Chem. Int. Ed.
巻: 56 号: 18 ページ: 4982-4986
10.1002/anie.201611542