研究課題
基盤研究(A)
Rett症候群 (RTT) は広汎性神経発達障害の1種であり、主にMECP2遺伝子変異によって発症する。今回我々は、MeCP2がmiR199aのプロセッシングを促進し、神経幹細胞の分化を制御していることを明らかにした。MeCP2欠損及びmiR-199a欠損海馬のシングルセル解析を行った結果、ニューロン細胞集団が減少、アスロトサイト細胞集団が増加していた。また、miR-199はBMPシグナル下流の転写因子Smad1を標的とすることを示した。さらに、RTT患者由来iPS細胞を用いて作製した脳オルガノイドにBMPシグナルの阻害剤を添加したところ、その表現型を改善できることを朗らかにした。
近年RNAプロセッシング異常が多くの神経疾患に関与するとの報告もなされていることから、本研究の成果は、他の神経疾患原因解明の一助となり得ると思われる。RTTの発症率は女児10,000人に1人といわれており、遺伝病であることから治療が難しく、現時点での治療法は対症療法のみである。そのため、治療法の開発が急務となっている。本研究成果によりMeCP2によって制御されるmiRNAの標的因子やその因子が含まれるシグナル伝達経路が明らかとなったため、その因子の機能を直接、あるいは間接的に制御できる薬剤の投与により、RTTなどの精神神経疾患の病状を改善させることができるようになるのではないか期待される。
すべて 2021 2020 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Cell Rep
巻: -
Neuroscience
巻: 398 ページ: 193-205
10.1016/j.neuroscience.2018.11.046
Neurosci Res
巻: - ページ: 63-70
10.1016/j.neures.2018.03.004
Journal of Neuroscience
巻: 38 号: 20 ページ: 4791-4810
10.1523/jneurosci.2423-17.2018
J Neurosci
Proc Natl Acad Sci USA
巻: - 号: 16 ページ: 4270-4275
10.1073/pnas.1716479115
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/234