研究課題
基盤研究(A)
細胞内共生による葉緑体の成立は、真核細胞による単細胞光合成生物の捕食、一時的保持(盗葉緑体および任意共生)、恒久的保持(葉緑体との絶対共生)の順に進行したと考えられている。本研究では藻食の単細胞生物、盗葉緑体性生物および葉緑体を有する単細胞真核藻類を用い、共生進化の各段階にある生物群が、光合成によって生じる酸化ストレスにどのように対応しているのかを解析した。その結果、植物や藻類に存在する光合成酸化ストレスを軽減する機構の少なくとも一部は、葉緑体が成立するよりも遙か前の、捕食・被食段階および一時的な共生関係の段階から順次獲得されてきたことが明らかとなった。
光合成酸化ストレスへの対処機構は、すでに葉緑体との絶対共生関係を確立させている真核藻類・植物においての研究例があったが、本研究により、捕食―被食関係の段階においても真核藻類・植物に見られる機構の一部が成立していたことが初めて明らかとなった。また、これまでほとんど不明であった細胞内共生進化の初期段階について、絶対共生関係を構築するために必要な機構や遺伝子群を、宿主細胞が捕食―被食関係の段階から漸進的に獲得したという知見が得られた。これらの結果は、細胞内共生進化を理解するために重要な、これまでになかった視点からの発見である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 10件)
Nature Communications
巻: 10 号: 1
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