研究課題/領域番号 |
17H01685
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
寄生虫学(含衛生動物学)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
加藤 大智 自治医科大学, 医学部, 教授 (00346579)
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研究分担者 |
久保 誠 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (40464804)
伊藤 誠 愛知医科大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (90137117)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90288522)
山本 雄一 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (00363672)
三森 龍之 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (00117384)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2020年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2019年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2018年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2017年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | リーシュマニア症 / シャーガス病 / 分子疫学 / ベクター / リザーバー / リスク評価 / 血清診断 / リーシュマニア / トリパノソーマ / 疫学 |
研究実績の概要 |
本研究では、近年新たな広がりを見せる「顧みられない熱帯病」リーシュマニア症およびシャーガス病について、“感染・病態リスク評価法”を構築し、新たな視点から疫学調査を行うことを目的とする。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。1)エクアドルにおける粘膜皮膚リーシュマニア症患者における薬剤耐性原虫株について報告した。2)粘膜皮膚リーシュマニア症におけるミルテホシンによる治療成功例について報告した。3)病理学的にリーシュマニア症を疑われたが、ヒストプラズマ症と診断した症例について報告した。4)ペルーでは様々なハイブリッド型のリーシュマニア原虫が分布していること、ミトコンドリアDNAと核DNAが一致しない交雑原虫株が一定の割合で存在することを明らかにした。5)ペルーのリーシュマニア症のベクター調査で、新たに2種の原虫媒介種を特定した。6)エクアドルとペルーに分布するリーシュマニア原虫媒介能の異なる同種のサシチョウバエの腸内フローラの比較解析を行った。7)イラクのリーシュマニア症流行地におけるベクター調査で、その地域に流行する原虫を媒介するサシチョウバエを明らかにした。8)約30年前にエクアドルの様々な地域から分離されたリーシュマニア原虫株100検体および近年FTAカードに採取した患者の病変部検体25検体を用いて、リーシュマニアRNAウイルス(LRV)感染を解析した。9)サシチョウバエ唾液タンパクの解析を行い、抗原性や生理活性を明らかにした。10)アジアにも広く分布するサシガメの唾液腺遺伝子転写産物の網羅的解析を行いその構成を明らかにした。11)スリランカの皮膚リーシュマニア症の血清診断法を確立し応用した。12)スリランカのリーシュマニア症の遺伝子タイピング法を用いた感染原虫種同定法の確立し応用した。13)ネコのリーシュマニア症の病態と治療経過について報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で、計画していた現地調査を行うことができなかったため、進捗状況には若干の遅れを感じる。しかしながら、これまで採取してきた検体の解析を行い、また、海外の共同研究者とともに研究成果をいくつかの論文にまとめることができた。エクアドルの粘膜皮膚リーシュマニア症に関する研究では、薬剤耐性を示した原虫の解析について報告し、他の症例ではミルテホシンによる治療成功例を報告した。また、エクアドルの様々な地域から採取した約30年前と現在流行している様々な原虫からLRV感染の有無を調べたが、結果はエクアドルではLRV感染原虫がほとんど流行していないことを示唆するものである。ペルーのリーシュマニア症については、北部アンデス地域におけるベクターを同定するとともに、その感染原虫およびベクターの遺伝的特性について明らかにした。また広域調査を通して、流行する原虫に、初めての報告を含めて交雑種が約10%もいること、ミトコンドリア遺伝子と核遺伝子に不一致が見られる原虫が一定の割合で存在することなどを報告した。スリランカのリーシュマニア症については、血清診断法および分子診断法の確立に成功した。これらを患者検体に応用し、その有用性を確認した。今後は本法をさらに改良し、診断・調査を継続する。共同研究でイラクのリーシュマニア症流行地におけるベクター調査を行い、媒介種を特定して成果を報告した。エクアドルとペルーに分布するリーシュマニア原虫媒介能の異なる同種のサシチョウバエの腸内細菌叢を比較解析し、地域と腸内細菌叢との関連性について報告した。また、日本でリーシュマニア症疑いの患者の病理検体のコンサルテーションを受けたが、この症例がヒストプラズマ症であることを明らかにした。このように、海外調査は実施できなかったが、これまで採取してきた検体の解析等を行い、いくつかの興味深い知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1)ペルーおよびスリランカにおけるリーシュマニア症の疫学調査、2)疾病流行地におけるLAMP法を用いた迅速分子診断の実施、3)分子生物学的手法を用いた大規模ベクター調査、4)スリランカのリーシュマニア症のリザーバー調査法の確立と応用、5)サシチョウバエ唾液抗原の発現と疫学調査への応用、について進める予定である。
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