研究課題/領域番号 |
17H01935
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境政策・環境社会システム
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
近藤 正規 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (30306906)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2018年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2017年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 環境 / 開発 / 多国籍企業 / コロナ禍 / アフリカ / アジア |
研究実績の概要 |
コロナ禍において、新興国や途上国でビジネスを行う多国籍企業の環境経営がどのような変遷を遂げたのか、また、今後の方向性に関して、シンガポールに新興国ビジネスの統括拠点を持つ多国籍企業を多数訪問してデータを収集した。 その結果、社員の健康管理に関する日常的な報告ラインが確立していた企業では、内外の拠店やグループ企業の状況把握が容易であったことが数量的に実証できた。これらの企業のコーポレート・ガバナンス、コンプライアンス体制、リスク管理などを指標化して、これらの指標が良好な企業ほど業績面でのコロナ禍の影響が少ないこともデータをもとに明らかにすることができた。 コロナ禍で分断されたグローバルサプライチェーンの再構築において、環境に対するマネジメント機能を自社単体からグループへ、さらにサプライチェーンへと範囲を広げていく過程も指標化して検証することができた。サプライチェーンの範囲が広い電気電子や輸送機器業界で進んでいるサプライチェーン管理のガイドラインについても調査を行った。この分野で進んでいる企業では、環境汚染やコンプライアンスの違反の防止に向けて、サプライヤーとの連携が進んでいることが明らかとなった。 環境の変化に対応して、新たなビジネス機会の創出を関連会社やサプライヤーを巻き込んでグループ全体として推進している企業の事例研究も行った。この結果、サプライチェーンにおける環境経営の徹底が事業運営に欠かせないことが、コロナ禍を経てさらに明確になったことが実証できた。 加えて、そうした企業をサポートするためにホスト国政府が行っているさまざまな政策について、直接規制と間接規制を比較しつつ、それらの効果を検証した。電子行政の果たす役割についても明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初令和4年夏から南アフリカにおいてデータ収集を計画していたが、訪問のアレンジを依頼していた現地政府研究協力者から予想外の感染急拡大で訪問先が閉鎖されており協力が難しい旨の連絡を受けた。予定していた現地調査が実施できず一年間の遅延が発生した。オンラインによる代替措置を検討したが、現地オフィスは人員不在で面談等ができず、個別メール送信により情報収集することは困難であるため代替実施による研究遂行は不可能と判断した。 その結果、代替案として、コロナ禍の回復が早く現地調査が容易なシンガポールに調査地を急遽変更し、同国に新興国ビジネスの統括拠点を置く多国籍企業を中心にデータを収集した。加えてインドにおいても同様の企業調査を行った。その結果、大幅な遅れを最小限に食い止めることができた。当初の計画とは大幅な変更を余儀なくされたものの、本来得られなかったような貴重なデータを得ることができたことは収穫であった。とはいえ当初の計画と比べると、若干の遅れがあることは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に収集できたデータをより充実させたものとするため、シンガポールにおける新興国ビジネスの統括拠点をさらに訪問して、データを多数収集するとともに、得られた情報をもとに回帰分析を行い、コロナ禍における環境経営の在り方において重要な要素が何であるかを探る。基本的に前年度のデータ収集方法を継続して、データの一貫性を図ることとする。加えてグローバルサプライチェーンの再構築やウクライナ戦争による世界情勢の新たな変化が多国籍企業の経営に与える影響を検証するとともに、環境経営のこれからの在り方を探る。 現地の状況の回復次第ではあるが、それに加えて、南アフリカおよびインドにおける多国籍企業もできるだけ訪問して、データを収集する。渡航に当たっては現地のパートナーの協力も得て安全性については十分な配慮を行うこととする。 次に、これらのデータをもとに、多国籍企業が行ったコロナ禍における対応がどのように企業間で異なっていたか、どのような対応がより効果的であったか、その違いをもたらした要因として大きかったものは何であったか、状況を改善させるためのホスト国の政府の役割としてどのようなものが有効であったか、といった研究課題について、収集した一次データをもとに回帰分析を行い、全体の研究をまとめ、学会発表を行うなどして知見を発信していきたい。
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