研究課題
基盤研究(B)
ユビキチン化糖タンパク質は、遺伝子の変異やストレスなどで変性した糖タンパク質のユビキチン-プロテアソーム系による分解経路の解明に有用なプローブである。このプローブの合成には糖タンパク質に位置選択的にユビキチンを連結する必要がある。糖タンパク質に含まれるシステイン残基に影響を与えない連結法として、本研究ではδ-セレノリシン誘導体の合成法とδ-セレノリシン残基とユビキチン-α-チオエステルとのワンポット連結-脱セレノ化反応を開発し、K48連結型ジユビキチンペプチドの合成によりその有用性を示した。
糖タンパク質の分解経路の異常は、細胞の恒常性の維持に影響を与え神経変性疾患などの原因ともなる。現在盛んに開発されているタンパク質のユビキチン化反応に、本研究で開発されたδ-セレノリシン残基とユビキチン-α-チオエステルとの化学選択的連結-脱セレノ化反応が新たに加わることで、ユビキチン化糖タンパク質などより複雑な構造を持ったプローブの合成が効率的になり、ユビキチンバイオロジーの発展がさらに加速される。また、合成したプローブを用いた変性糖タンパク質分解経路の解明を通して基礎生物医学的な応用も期待される。
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The Journal of Organic Chemistry
巻: 85 号: 24 ページ: 16024-16034
10.1021/acs.joc.0c01766