研究課題/領域番号 |
17H02275
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
月本 昭男 上智大学, 神学部, 教授 (10147928)
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研究分担者 |
田澤 恵子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (30598587)
津本 英利 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40553293)
松村 一男 和光大学, 表現学部, 教授 (70183952)
下釜 和也 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (70580116)
小野塚 拓造 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (90736167)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2018年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2017年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 治癒神 / 弱者保護としての正義 / 孤児と寡婦 / 寄留者保護 / 貧者保護 / 古代の医療と医療の神 / 寄留者の保護の古代法 / 孤児と寡婦の保護 / 医療施設の考古学 / 人骨に残る障碍の痕跡 / 宗教と福祉 / 西アジア考古学 / 楔形文字資料 / 旧約聖書 / 古代西アジア / 寡婦と孤児 / 小児供儀 / 身体障碍と考古資料 / 考古学 / 文献学 / 神話 / 障碍 / 障碍と疾病 / 奇形神 |
研究成果の概要 |
時代を遡れば、遡るほど、人類の宗教と福祉の関連は密接になる。人類の古代文明の発祥の地メソポタミアにおいては、病気治癒を司る神グラが祀られていた。治癒神観念はギリシアのアスクレピオスに引き継がれてゆく。孤児と寡婦を守るのは正義の神であり、王がそれを実践する責任を負った。古代メソポタミアのこの伝統は、後に、旧約聖書のモーセ律法にもとりこまれ、さらにそこに土地をもたない寄留者や貧者の保護が加えられた。 これらは、主として、古代文献資料によって明らかにされた事実であるが、他方で、古代医学を含む社会福祉の実践は、出土する人骨の研究、病院とみられる建築遺構の発見などにより、明らかになることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
古代西アジアにおいて、病気治癒をも含む社会福祉は宗教と密接に結びついていた。なかでも社会的弱者の保護は社会正義を司る神の命令として、王がその実践の責任を負っていた。このような古代の伝統は、聖書に受容され、さらに、そこに寄留者や貧しい者の保護が加えられた。 このような宗教と福祉の密接な関係は、のちにキリスト教を介して近代の社会福祉思想へと継承されてゆく。今日では、政教分離の原則のもと、福祉と宗教は別領域として受けとめられているが、福祉を技術にとどめず、人間社会の基本の姿とするために、宗教と福祉の歴史的関連をあらためて問い直す必要があるだろう。
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