研究課題
基盤研究(B)
本研究では、太陽のような恒星の集団である星団の形成過程の理解を深めるために、太陽の1000倍程度の質量をもつ巨大なガス塊である巨大クランプに対して、ミリ波分子輝線による観測、可視光近赤外線での偏光・減光量の測定、および磁気流体シミュレーションによる理論計算を遂行した。その結果、星団形成を引き起こす巨大クランプについて、星団形成初期に自己重力による中心方向への回転収縮運動が起きることや、星団を形成しない特異な化学組成をもつ巨大クランプが存在することなど、いくつかの新しい知見が得られた。理論計算との比較により、これらの巨大クランプ内での星団形成には、星間磁場が大きく関与していることが示唆された。
銀河系は、約2000億個もの恒星から成る。これらの恒星は孤立して誕生するものもあるが、多くの恒星(おそらく半数以上)は星団のメンバーとして誕生していることが明らかになりつつある。よって、本研究で得られた新しい知見は、単に星団形成のみならず銀河系全体の形成や進化に関する理解に直結するものであり、その学術的な意義は大きい。我々の母なる太陽も、太古の昔、どこかの星団の中で形成されたことが示唆されている。太陽系や地球の起源を考える上でも、星団形成に関する理解は重要な役割を果たすものと思われる。
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