研究課題
基盤研究(B)
次亜塩素酸イオンの開裂様式について研究を行った。次亜塩素酸イオンの開裂過程は、その後に生成する反応活性種の性質を決定する重要な過程である。本研究では、ヘム錯体と次亜塩素酸イオンとの反応を低温で種々の分光法を用いて研究をした。その結果、次亜塩素酸イオンの開裂様式を支配する機構の解明に成功した。この機構は、次亜塩素酸イオン以外の他の酸化剤の結合開裂様式を予測できる一般性の高い機構であることが証明できた。さらに金属イオンに配位した次亜塩素酸イオンの反応性を制御する機構の解明にも成功した。アキシャル位とエクアトリアル位の配位子効果を統合的に説明できる機構を提案することができた。
次亜塩素酸は、非常に強い酸化力をもった不安定な分子であり、漂白剤や殺菌剤など身近なところで使用されている。最近では、コロナウイルスに対して効果がある、効果がないなどニュースで話題になっている。本研究では、次亜塩素酸イオンが活性化される機構を解明することに成功した。この機構では、次亜塩素酸イオン以外の多くの酸化剤の活性化を予測できる機構である。この機構は、次亜塩素酸イオンが殺菌や漂白などをする際の機構を解明する基礎的な情報を与える成果である。
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