研究課題
基盤研究(B)
一つのキラル源から両鏡像異性体をそれぞれ選択的に合成する不斉多様化反応開発では、エントロピーの駆動力が鍵となる。我々が開発してきた、構造自由度の高いグアニジン-チオウレア官能基複合型有機触媒を用い、フェノール類とイミン類とのフリーデル・クラフツ(FC)反応を検討したところ、本触媒反応がエントロピー駆動型で進行することがわかった。本FC反応において、熱力学的パラメータに着目した理論計算による解析を行ったところ、触媒がS字構造をとりながら反応基質と水素結合等の弱い相互作用を形成することでエントロピー項が大きく影響することを見出した。本触媒反応を用い、(+)-グラシラミンの全合成を達成した。
生理活性物質合成や医薬品開発において、両鏡像異性体の合成が多々求められる。この時、これらを一つのキラル源から触媒的に合成する手法(触媒的不斉多様化反応)は、必要な試薬・時間・エネルギーを大きく削減し、環境負荷を大きく低減することから、次世代のモノ作りに必須である。触媒的不斉多様化反応において、触媒によるエントロピーの駆動力に基づく反応活性が重要であるが、これまで報告されたエントロピー駆動型触媒反応は数例である。本研究で理論計算をもとに見出した、グアニジン-チオウレア型有機触媒によるエントロピー駆動が生ずる触媒構造因子は、今後の新たな不斉多様化反応触媒を開発するための指針となる。
すべて 2021 2020 2019 2018 2017
すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (42件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
The Journal of Organic Chemistry
巻: 85 ページ: 11980-11988
10.1021/acs.joc.0c01760
巻: 85 号: 23 ページ: 15232-15240
10.1021/acs.joc.0c02084
Chem. Eur. J.
巻: 26 号: 9 ページ: 2025-2033
10.1002/chem.201904184
Asian Journal of Organic Chemistry
巻: 9 号: 2 ページ: 218-221
10.1002/ajoc.201900726
巻: 8 号: 10 ページ: 1766-1774
10.1002/ajoc.201900459
巻: 84 号: 12 ページ: 7630-7641
10.1021/acs.joc.9b00403
Bulletin of the Chemical Society of Japan
巻: 92 号: 9 ページ: 1447-1449
10.1246/bcsj.20190127
130007706728
巻: in press 号: 13 ページ: 7276-7280
10.1021/acs.joc.7b03273
European Journal of Organic Chemistry
巻: 2018 号: 20-21 ページ: 2572-2578
10.1002/ejoc.201800086
Org. Lett.
巻: 20 号: 10 ページ: 2811-2815
10.1021/acs.orglett.8b00641
Tetrahedron Letters
巻: 59 号: 8 ページ: 687-696
10.1016/j.tetlet.2017.12.058
Angewandte Chemie International Edition
巻: 57 号: 8 ページ: 2229-2232
10.1002/anie.201708575
Advanced Synthesis & Catalysis
巻: 359 号: 16 ページ: 2881-2889
10.1002/adsc.201700266
巻: 56 号: 23 ページ: 6609-6612
10.1002/anie.201701431
Angew. Chem. Int. Ed.
巻: 56 号: 19 ページ: 1-6
10.1002/anie.201612461
Synlett
巻: 印刷中 号: 11 ページ: 1305-1309
10.1055/s-0036-1588151
Organic Letters
巻: 19 号: 2 ページ: 420-423
10.1021/acs.orglett.6b03722
Heterocycles
巻: 95 号: 1 ページ: 116-126
10.3987/rev-16-sr(s)3