配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2018年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2017年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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研究実績の概要 |
層状粘土鉱物ハイドロタルサイトを高温で焼成して得られたMg-Al複合酸化物は酸―塩基両機能を有し、過酸化水素水存在下で種々の糖類からギ酸を効率よく生成するという知見(K. EBITANI ら、Org. Proc. Res. Dev. 19, 2015, 449-453)に基づき研究を遂行した。Mg-Al複合酸化物は、水に触れると元の不活性な層状構造に戻るため、高温での焼成処理を経由しない、水に強い酸―塩基両機能触媒を設計・開発する事を目的とし、塩基性ハイドロタルサイト表面に種々の多価金属イオン(Cr3+, Fe3+, Sc3+, La3+, Co3+, Cu2+, Ni2+等)を固定化した多様な固体触媒を含浸法にて調製した。ハイドロタルサイト表面に多価金属イオンを固定化すると酸―塩基両機能触媒が創成できる事は既に見出していた(例えば、K. EBITANIら、Catal. Sci. Technol. 6, 2016, 8200-8211)。流通式反応装置(設備備品)での連続大規模反応を目指し、その前段階としてバッチ式での反応を試みた結果、焼成したハイドロタルサイトの触媒性能を凌駕する反応活性と選択性を達成するに至らなかった。さらに、過酸化水素水濃度や反応温度、反応時間、撹拌速度等の反応パラメータを種々検討したが、水に強い酸―塩基両機能触媒の発見には至らなかった。しかしながら、流通式反応装置は固体酸触媒によるフルフラール類のヒドロキシメチル化反応の大規模化に貢献できるなど(投稿中)、この科学研究費助成事業の意義は十分あったと思われる。
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