研究課題/領域番号 |
17H03537
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
エネルギー学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小山 繁 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 特任教授 (00153693)
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研究分担者 |
宮崎 隆彦 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (70420289)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2018年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2017年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 冷凍サイクル / エジェクタ / 混合冷媒 / 非共沸 / エジェクタ冷凍サイクル / 作動媒体 / 熱駆動 / サイクル計算 / 冷凍空調 / 冷媒 |
研究実績の概要 |
H29年度は,混合冷媒を用いたエジェクタサイクルの様々な動作環境における性能をシミュレーションによって評価した. 他の研究グループにより提案されている既存のモデルを元に,混合冷媒を用いた場合のエジェクタ内の質量流量比を計算するようにそのモデルに改良し,質量流量比およびCOPを計算した.単一作動媒体を用いたエジェクタ冷凍サイクル(ERC)と混合冷媒を用いたエジェクタ冷凍サイクル(BERC)について,シミュレーションで予測された性能を比較した結果,次の知見を得た. (1) ERC,BERCともにジェネレータ温度および蒸発器温度が上昇すると,質量流量比が増加し,凝縮器温度が上昇すると質量流量比は減少する.(2) ジェネレータ温度,蒸発器温度,凝縮器温度の中で,凝縮器温度の変化が最も質量流量比に影響を与える.(3) ERCにおいて,質量流量比は冷媒の気液密度比によって影響を受ける.(4) ERCとBERCを比較して,1種類の冷媒のみを用いるより,2種類の冷媒を用いる方がシステムの効率が上がる.(5) 各種損失係数は,質量流量比に大きく影響する.(6) 最も影響を与える損失係数は,混合部での損失係数である. 一方,本計算は,各種損失係数を固定して質量流量比を算出しているため実際のサイクルとの差異が生じる可能性がある.損失係数は,エジェクタの形状や使用する冷媒によって異なる.特に,混合冷媒の場合の損失は単一冷媒の場合と比較して,実際の物理的機構はより複雑であると思われる.そのため,次年度以降は損失係数をより正確に予測するためのモデル構築を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,作動媒体の視点からエジェクタ内現象の物理機構を解明し,エジェクタ冷凍サイクルの性能向上に資する知見を得ることを目的としてる.H29年度は,単一冷媒および混合冷媒を用いたエジェクタ冷凍サイクルについて,性能予測シミュレーションを構築し,各種冷媒による性能を比較できた.そして,混合冷媒を用いたサイクルの場合に単一冷媒よりも高いCOPを期待できることを示すことができた.また,エジェクタ内の流動現象を予測するための数値解析モデルを構築し,解析を進めている.これらの成果は,当初計画どおりに得られている. 一方,次年度以降に実験による実証を予定していたが,高性能化が期待できる冷媒は,安全性の面で問題があるために冷凍サイクルの実験は難しいことが明らかとなった.そのため,次年度以降は数値解析に重点を置いて研究を進める.
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今後の研究の推進方策 |
H29年度までの成果として,混合冷媒を用いたエジェクタ冷凍サイクルは高いCOPが期待できることが明らかとなったが,候補となる冷媒に炭化水素,または,フロン系冷媒であっても微燃性を有する冷媒が含まれるため,ある程度の冷媒量を充填する必要が生じる冷凍サイクル実験は難しいと判断した.そこで,次年度以降は数値解析によるエジェクタ内部の流動解析,および混合冷媒の場合の分離凝縮器のモデル化に焦点を当て,物理モデル構築ならびにシミュレーション解析を中心に実施する.また,シミュレーションの信頼度を高めるために基礎的な熱物性値が必要な場合は,安全に配慮して少量の冷媒を使った実験によって実測する.
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