研究課題
基盤研究(B)
本研究は刻一刻変化する周囲環境に瞬時に応答できる転写後制御メカニズムとして、成長円錐およびシナプスに局在するmRNAの化学修飾の解明を目標にした。そのために、健康な成体マウス脳から神経シナプスに含まれるRNAを精製し、次世代シーケンサーで解読した。結果、シナプスにおけるm6A修飾状況を世界初記述し、精神疾患・発達障害に関連するものが多く含まれることが明らかになった。さらに、m6A修飾を読み取るYTHDF1による局所翻訳との関わりや、シナプス伝達の制御に重要であることを明らかにし、精神疾患・発達障害においてシナプスにおけるmRNA の化学修飾が関連するという全く新しい可能性を示した。
近年、m6Aをはじめ次々とmRNAの新たな修飾が網羅的に同定されるようになったが、各細胞の運命決定における意義の解明は着手されたばかりである。申請者は既存のエピジェネティクスモデルでは解決できない「迅速さ」と「柔軟性」をもつ神経遺伝子情報発現新制御相を明らかにする。応用としては、遺伝性のない神経変性疾患において、mRNA修飾制御が新たな研究対象として展開されることが期待できる。本研究成果を皮切りに、様々な化学修飾がmRNAメタ情報として、神経細胞のみならず広範な生命現象の制御因子として、より一般的な概念として波及していく効果も期待される。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 11件、 招待講演 13件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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