研究課題
基盤研究(B)
長野県深見池におけるプランクトン群集の長期的な個体数変化と遺伝的変化を、湖底に年ごとに積もった年縞堆積物中に保存された微化石や休眠卵などを用いて調査した。その結果、深見池が1662年に形成されたから現在までの長期的変化が明らかとなり、二度にわたる富栄養化のイベントや魚類の侵入に対するプランクトン群集の応答が見られた。また、ミジンコ個体群の遺伝的組成を評価したところ、少数の遺伝子型のみが侵入に成功していたことや、それらの共存が繁殖に関する生活史の違いによって実現していたことがわかった。これらの成果は、湖沼におけるプランクトン群集の長期動態の理解に新しい知見をもたらしている。
湖沼が新しく形成されたあと、長い時間をかけて自然に富栄養化が進み、流入した土砂によって水深がだんだん浅くなり、やがては湿地となっていく。この長期的な湖沼生態系の変化において、プランクトン群集の長期動態の理解は限られているが、今回の研究成果は新しい事例を提供している。特に、近代的な農業が始まる以前にも急激な富栄養化が起き、プランクトン群集が応答していたことは、興味深い知見である。また、ミジンコ個体群の遺伝的組成の長期動態が明らかとなり、侵入成功の頻度が低いことや遺伝的多様性が低いなかでの個体群定着が見られるなど、生物学的侵入における遺伝的多様性の効果に新しい知見をもたらした。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
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