研究課題
基盤研究(B)
肝臓を含む器官は、細胞増殖を介して、適切サイズに成長し、維持される。国内外を通じて、器官のサイズと品質を制御する分子機構の解明は重要課題である。我々はメダカ変異体の単離と解析から転写共役因子YAPが細胞張力を介して、3D器官形成に必須の役割を果たしていること、また、イヌ腎上皮細胞MDCKに活性型YAPを発現させると、隣接細胞に圧力が誘導され、YAP発現細胞が頂端面に押し出されることを明らかにしている。本研究では、1)マウス肝臓においてはYAP依存的に障害肝細胞が排除されること、2)イヌ腎上皮細胞MDCKにおけるYAP依存的細胞排除にはプロスタグランジンE2が必須の役割を果たすことを見出した。
器官のサイズ制御と品質管理の分子機構の解明は、国内外を通じて重要で興味深い研究課題である。がん原遺伝子産物YAPが、細胞数の調節を介して器官サイズ制御に関与するという発見は多くの研究者に驚きをもって迎えられた。我々はYAPが細胞張力の調節を介して3D器官形成に関与することを見出した。また、異常細胞の排除の調節を介して器官の品質管理の制御にも関与することを示唆した。以上の研究成果は、器官のサイズと品質を制御する分子機構の一端を解明した学術的意義がある。また、再生医学の基盤研究として社会的意義がある。
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