研究課題
基盤研究(B)
脳に存在する興奮性神経細胞と抑制性神経細胞は、それぞれ適切な密度のシナプスを形成し、機能的な神経回路を構成する。シナプスの興奮と抑制の構造的かつ機能的なバランスは正常な脳機能発揮に重要であり、その崩壊は様々な脳疾患につながる。そして、シナプスは脳内免疫細胞であるマイクログリアの貪食によって刈り込まれ、その密度が制御されているが、マイクログリアによるシナプス貪食がシナプス興奮抑制バランスの調節に関与するかは明らかではない。本研究では、熱性けいれんモデルマウスを用いて、マイクログリアによる抑制性シナプス特異的な貪食が、シナプス興奮抑制バランスの崩壊に繋がることを明らかにした。
本研究は、シナプスの形成と維持のメカニズムに関して、活動の高いシナプスがシナプス競合を経て選別されることで神経回路に残存するといった一般的な概念とは異なり、活動の高いシナプスが除去されるという現象とそのメカニズムを明らかにした点で学術的な意義がある。また、マイクログリアによる抑制性シナプス特異的な貪食がてんかん原性の獲得におけるシナプス興奮抑制バランス崩壊の原因となることを示した。この結果は、これまでの神経細胞を標的としたてんかんの治療に、マイクログリアを標的とした治療という新たな視点を与える点で社会的な意義がある。
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すべて 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 3件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 10件、 招待講演 10件)
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