研究課題
基盤研究(B)
我々は、腸上皮死細胞培養液が、それ単独ではCCL8産生を誘導しないが、LPS刺激に伴うマクロファージのCCL8産生を促進することを見出した。死細胞培養液をサイズ排除クロマトグラフィーで分画化し、活性成分が分子量約1,000の画分に含まれるペプチドの可能性が高いことを突き止めた。この画分をさらに逆相カラム(C18)でHPLC/MSし、VimentinやhnRNPa2b1など、これまで腸炎との関連があまり知られていなかった内因性アジュバントを同定した。
近年わが国で炎症性腸疾患の罹患者数が急増しており、新たな治療標的の発見が望まれている。以前に我々は、腸管のCD169マクロファージがCCL8を産生し、腸炎進展に関与することを発見した。抗CCL8抗体はマウスの大腸炎を抑制したことから、マクロファージによるCCL8産生の制御が、炎症性腸疾患の治療戦略策定に寄与すると考え、CCL8産生を促進するシグナル分子同定を目指した。本研究では、腸上皮死細胞から産生される内因性アジュバントが、マクロファージによるCCL8産生を促進することを証明した。今後、これらの分子を同定することで、炎症性腸疾患の急性増悪機序の理解や、治療法開発に役立つことが期待される。
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