研究課題
基盤研究(B)
アルツハイマー病の神経細胞死は、生理的に産生されているアミロイドβ(Aβ)が凝集し毒性を獲得することで起こる。しかし、Aβ凝集体がいかに形成され、いかに細胞死を起こし、病変が脳内でいかに伝播するかは不明である。本研究では、申請者らが患者脳から発見したAβ凝集体ASPDに焦点を合わせ上記の解明を目指した。その結果、Aβは全ての神経細胞で産生されるが、ASPDは特定の神経細胞内で産生され分泌され、ナトリウムポンプNAKα3に結合しNAKα3発現神経細胞を死に至らしめることなどを明らかにした。そして、ASPDとNAKα3との結合を阻止するシードペプチドを探索し得ることが出来、創薬への基盤も開いた。
今回の研究により、Aβの凝集体形成が、単純にAβの濃度だけで決まっている訳ではないことが初めて明確に示された。アルツハイマー病の治療法開発としては、神経細胞の保護機能がある生理的Aβを全て除去することは好ましくない。これにかわる新たな治療法が求められているが、それに対する新たな可能性を提示出来た。また、実際に形成された凝集体と、その標的となるナトリウムポンプの結合を阻止するシードペプチドを発見したことは、創薬への現実的な一歩となる成果である。さらに、ナトリウムポンプは、パーキンソン病など他の神経変性疾患の病態とも関連することから、本研究の成果は他の神経変性疾患にも敷衍可能である。
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The Journal of Biological Chemistry
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iScience
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