研究課題
基盤研究(B)
志賀毒素産生大腸菌(STEC)と腸管病原性大腸菌(EPEC)は、それぞれ溶血性尿毒素症候群と乳児下痢症の原因となる。STECやEPECはウシの腸管内に常在しているが、どのような大腸菌からどのようなプロセスを経て進化してきたかはまだよくわかっていない。我々は、ヒトとウシの常在大腸菌、ヒト臨床由来大腸菌の大規模ゲノム比較により、STECやEPECがウシ常在大腸菌に様々な病原遺伝子が蓄積することで出現していることを明らかにした。これらの病原遺伝子間には、機能的な関連があり、それらが協調的に働くことがウシ腸管内における大腸菌の生息に役立っていることが示唆された。
本研究により、ウシ腸内には、ウシ常在大腸菌へ多数の病原因子を蓄積させる選択圧が存在する可能性が示された。その選択圧の候補の1つとして、ウシ腸内で大腸菌を捕食している原生生物が挙げられる。今後は、その選択圧を明らかにし、病原性大腸菌出現の仕組みを完全に解明することで、病原性大腸菌を制御する手法の開発が可能となり、病原性大腸菌感染症の予防や安全な食肉生産に繋がると期待される。
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すべて 国際共同研究 (7件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
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