研究課題
基盤研究(B)
近年、既存の薬剤に対して抵抗性を示す「癌幹細胞」の存在が明らかになり、癌を根治するためには癌幹細胞を標的とした新たな治療薬の開発が期待されているが、いまだ実現していない。そこで我々はALDH活性を指標に乳癌幹細胞のアッセイ系を開発し、リボソームフットプリント法により翻訳が亢進している分子を網羅的に探索した。その結果、癌幹細胞において翻訳の亢進が誘導される新規因子を明らかにした。この分子を過剰発現させると癌幹細胞の増殖が起こり、逆にノックダウンすると癌幹細胞の増殖が抑制された。さらに、乳癌患者由来の臨床検体でも同様の結果を得た。以上の結果から、癌幹細胞を標的とする治療薬開発の技術基盤を確立した。
乳癌は遺伝子発現などによる分類が確立され、ルミナール型とHER2型は受容体に対する分子標的治療薬が確立しているのに対して、トリプルネガティブ型は有用な分子標的治療薬が開発されておらず予後も悪い。他の癌に比べて罹患年齢も若く、社会的にも重要な課題である。そこで本研究では、癌の源となる癌幹細胞を用いて、翻訳制御の観点から治療薬の標的分子の探索を行った。リボソームフットプリント法を用いて、トリプルネガティブ型乳癌における癌幹細胞の翻訳制御を詳細に解析し、癌幹細胞において翻訳が亢進している因子を新たに同定することに成功した。以上の結果から、翻訳制御に基づき新たな抗癌剤の技術基盤を構築した。
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