研究課題
基盤研究(B)
PD-1阻害薬効果を予測する末梢血バイオマーカー性能を検証する多施設前向き第二相臨床試験を行った。治療前T細胞解析により奏効型と予測された症例は有意に良好な病勢制御率を示し、無増悪生存期間でも良好な傾向を示した。一方、不良検体では解析が困難であることが判明し、on-site解析機器開発および検体を良好な状態で保存する技術開発を進めている。また、初回pembrolizumab治療コホートを用いて末梢血T細胞バイオマーカーが定量的に無増悪生存期間、全生存期間を予測することを証明した。さらに、最も治療効果と相関するT細胞クラスターを探索することで新規抗腫瘍CD4 T細胞クラスターを見出した。
本研究では、末梢血という軽微侵襲で採取できる検体を用いて、治療前に肺癌免疫チェックポイント阻害薬治療の効果予測ができることを示すことができた。これは、一人一人の免疫状態に基づいて最も適切な治療選択が可能になることを意味している。過剰な治療や効果のない無駄な治療を避けることで最大効果を生みながら社会的医療費負担軽減効果が期待できる。また、本研究で見出した最も治療効果と相関する免疫細胞は、新たな治療開発の標的となる。これは、現在の免疫チェックポイント阻害薬では不十分な効果しか得られない症例に対して、どのようにしたら好ましい免疫状態に変化させることができるかを探索する鍵となる。
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