研究課題
基盤研究(B)
脊髄損傷の急性期では炎症反応が強く、神経幹細胞の移植を行っても生着せず、効果が期待できない。本研究では、炎症反応を惹起する補体の抑制剤を投与することで、急性期にヒトiPS細胞由来神経幹細胞を移植したところ、細胞の生着率が向上し、運動機能の回復も認めた。補体抑制剤を用いることで、急性期の炎症性サイトカインの発現や炎症細胞の浸潤、さらには宿主の神経細胞のアポトーシスも抑制されており、移植細胞にとって良好な環境が整っていることが考えられた。
本研究では、脊髄損傷モデルに対してC5a受容体アンタゴニストを投与することにより、損傷急性期においても移植した神経幹細胞が生着し、運動機能が回復することを明らかにした。これまでの脊髄損傷における細胞移植治療は、炎症が収まる亜急性期での移植が有効とされているが、本研究により従来よりも早期の治療介入が可能になると考える。C5aを阻害する薬剤は、臓器移植や神経変性疾患など臨床の現場で既に使用されている。本研究は、脊髄損傷に対する細胞移植の効果をより高める治療として、今後の臨床応用に繋がる研究成果と考える。
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