研究課題
基盤研究(B)
遺伝性難聴患者のゲノムサンプルと臨床データの収集を行い、細胞生物学的および生化学的な解析を進めた。それらのうち、以下の成果は論文として発表できた。DIA1はDIDドメインとDADドメインが結合することで自己抑制されるが、DIDドメインに変異があるとこの結合が弱まって恒常活性となり難聴を引き起こす。CLDN14変異はバリア機能の破綻により難聴を起こし、これには人工内耳が有効であった。OTOAはコピー数多型により難聴の原因となり、変異型Myosin VIは微絨毛伸長不全を起こし、POLD1変異ではDNAの伸長が抑制されており、EphA2はペンドリンと結合して局在を規定する機能が明らかと出来た。
難聴の有病率は全ての疾病の中で2番目に高く、日常生活に支障を来す障害の原因として成人発症の難聴がトップで、かつその負担は今後さらに増加すると見込まれている(WHO, 世界疾病調査)。しかし根本的治療法がなく、多くの患者が重いハンデを背負いその社会的損失は計り知れない。難聴の病態、さらに言えば聴覚受容の分子機構には不明な点が多く、これが治療法の開発を困難としている。本研究成果は内耳がいかに音を感じるのかを分子レベルで解明するものである。かつ各分子はヒト遺伝性難聴の原因遺伝子として同定したもので、これらの知見はヒトの難聴の病態に直接応用できるものである。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 4件)
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