研究課題
基盤研究(B)
ロシア極東地域、ベトナムおよびその周辺地域の陸、淡水貝類の野外調査及び分子系統解析の結果から、ニッチの多様性は種分化速度を高め、種多様性に貢献する場合があることが示された。その一方で、資源の量(殻形成に必要な炭酸カルシウム量)の豊富さが個体群密度を高め、その結果種分化速度や種多様性が促進されるなど、種間競争に関しては中立なプロセスが種多様化の主因であると考えられるケースもあった。捕食―被食の関係は、表現型の多様性を高めるとともに、種分化を促進し種多様性を高めると考えられた。以上の結果から、生態学的なプロセスは種の多様性の進化に重要な役割を果たすことが示された。
従来、たロシア極東地域とベトナム―中国南部の生物相は、生物多様性のホットスポットとして重視されながら、その実態が未知であった。本研究は、その形成要因を、陸、淡水貝類をモデルとして解明し、環境が多様性をもたらすの鍵であることを示すことができた。この成果は、本地域の生物相が、保全上の高い価値を持つことを示す。さらにこの成果は、現在急速に劣化しつつある本地域の生物相を保全することの重要性と緊急性を示している。
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