研究課題/領域番号 |
17H04624
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
水圏生産科学
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研究機関 | 東京大学 (2018-2019) 広島大学 (2017) |
研究代表者 |
小路 淳 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10397565)
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研究分担者 |
谷口 真人 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80227222)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2019年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2019年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2018年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2017年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 海底湧水 / 水産資源 / 魚介類 / 成長 / 陸起源 / 栄養供給 / 餌料環境 / 生物生産 / モンスーン / 乾燥地域 / 陸域起源栄養 / 貢献度評価 / 地下水 / 広域比較 |
研究実績の概要 |
海底湧水は河川水など他の陸水に比べてリンや窒素などの栄養を豊富に含むことから,沿岸海域の生物生産に高く寄与することが近年の研究で明らかにされつつある.しかし,これまでの研究は海底湧水と低次生産の関連を対象にしたものがほとんどであり,高次生物への影響を扱った研究例は世界的に見ても乏しい.今年度は、世界の沿岸海域における水産資源として重要な二枚貝の成長に海底湧水が与える影響を評価するための野外実験プロトコルを確立し,各地の調査サイトへ応用することを目的とした.
海底湧水の存在が確認されている瀬戸内海の海岸域(湧水区)と対岸の無人島(対照区)において,海水中のラドン濃度(地下水湧出の指標)を測定した.2018年6月13日にアサリ(平均殻長27.3mm:湧水区,27.4mm:対照区)を6個体ずつ収容したプラスチック製の網を各調査区内の海底に6セットずつ設置し4週間後に回収した.期間中の殻長の増加量と実験区間で比較した.海底付近における水温,塩分を1時間ごとにデータロガーにより測定した.生息環境中におけるアサリの餌料生物量の指標として,クロロフィルa濃度,底生微細藻類の生産速度を実験区間で比較した.
湧水区の平均ラドン濃度は対照区に比べて高く,海底湧水の影響が強いことを再確認できた.湧水区におけるアサリの平均日間成長速度は対照区に比べて有意に高かった(p<0.05).以上のことから,海底湧水起源の栄養がアサリの成長を促進している可能性が示唆された.また,二枚貝の成長に海底湧水が与える影響を評価するための野外実験プロトコルの一つとして有効な手法を確立することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の研究は,海底湧水と基礎生産の関連が解析対象とされてきた.本年度は,海底湧水による1次消費者(アサリ)への影響を評価するための野外実験プロトコルを確立できたため.
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今後の研究の推進方策 |
水産資源を構成する多様な生物種を用いた実験プロトコルの確立と,海洋環境が異なる地域での野外実験への応用を可能とする技術が不可欠である.
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