研究課題
若手研究(A)
本研究では、高品質な機能性食品の開発を目指し、独自の非晶質処方で開発したクルクミンをモデルに、「物性-動態-活性/安全性」の多角的連関解析手法の有用性を評価した。その結果、非晶質クルクミンは市販製剤に比較しても、特に肝臓に組織分布量が多いことが明らかとなった。また、非晶質クルクミンは、肝臓中で、PPARαを活性化させ、β酸化を亢進させることで、肝臓で合成・貯蔵されるトリグリセリドを低下させる効能を有していることを示した。以上、本研究から、動態に基づいた生体応答解析の重要性が提示でき、今後、本手法を活用することで、高品質な機能性食品が数多く開発されることを期待する。
特定保険用食品の市場は、制度設定以来、右肩あがりに拡大してきたものの、エコナ問題による安全性への懸念から、市場が20%まで落ち込み、しばらく横ばい傾向が続くこととなった。このように、日常、口にする食品の安全性への懸念は、大きな社会問題となることが多い。このような観点から、今後さらに機能性食品の活用が増すことが予想される本邦においては、品質の担保が必要不可欠である。そのため、本研究の成果は、クルクミンの生理活性の理解に加え、将来的に、高品質な機能性食品を開発するうえで考慮すべき指針を与えうる点で、社会的意義も大きい。
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