研究課題
若手研究(A)
受精卵から樹立される胚性幹細胞(ES細胞)と、体細胞から樹立されるiPS細胞は、いずれも未分化能および多分化能を有し、細胞治療や疾患モデルへの臨床応用が期待されている。しかしながら受精卵および幹細胞に多くみられる染色体異常や、加齢成人から樹立したiPS細胞におけるゲノム不安定性は、安全な生殖補助医療と再生医療の実現化にとって障壁となっている。本研究では受精卵からES細胞を樹立する過程で発現する遺伝子Zscan5bを同定し、Zscan5bが染色体構造を安定させるとともに、体細胞分裂期のDNA損傷修復を介して、いまだ分からないことの多いES細胞におけるゲノム安定性に寄与することを明らかにした。
本研究は、「受精後の初期に生じる遺伝子の機能を喪失させることで体細胞とESCsのゲノム安定性が損なわれ、ランダムに染色体異常が起こりえる」というあらたな概念を提示した。マウスモデルとヒトにおける遺伝子発現の時期は異なるため、本研究成果がそのままヒトに当てはまるかは今後さらなる検証が必要である。しかしながら今回の成果は、健全な受精卵の発育や幹細胞の樹立を通して、より安全な生殖補助医療および再生医療の実現に大きく寄与することが期待される。
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Stem Cell Reports
巻: 12 号: 6 ページ: 1366-1379
10.1016/j.stemcr.2019.05.002
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2019/5/31/28-53422/