研究課題
若手研究(A)
具体的な研究内容:希少がんである頭頸部肉腫ならびに間葉系腫瘍類似疾患について多面的な解析を行った。琉球大学、ミャンマー・マンダレー歯科大学と共同研究を行った。具体的には、血管肉腫、線維肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫など頭頸部肉腫の蒐集を行い、対照疾患としては、膿原性肉芽腫、線維性ポリープなど非腫瘍性疾患ならびに扁平上皮癌を選定した。Hippo経路ならびに増殖因子(Survivinなど)の発現解析を行い、腫瘍型との相関ならびに、発現様式に着目した。その結果、肉腫においては、特徴的にSurvivinの核内発現・局在が確認され、従前発表した血管肉腫における解析と相同的であった。肉腫において、Survivinは増殖期に特徴的に発現し、腫瘍細胞増殖性を規定していることが示唆された。同時に、YAPの核内局在、ならびにリン酸化YAPの細胞質内局在が肉腫において確認され、Survivin発現調節機構にHippo経路が直接的に関与している可能性を提示した。対照疾患では、非腫瘍性疾患においてはSurvivinの発現はほとんど確認されず、扁平上皮癌においては、分化の低い腫瘍細胞においてSurvivinの発現が確認された。本結果は、上皮間葉転換(EMT)の背景にSurvivinという増殖調節機構が関与している可能性を示唆するものであり、腫瘍特異的にSurvivinが発現することを確認できた。意義と重要性:本研究は腫瘍という発生と相似である現象について、増殖制御機構が相似形である可能性を強く示唆している。初期発生と類似した現象が腫瘍形成において生じ、適切な三次元的構成が破綻する背景には、増殖制御機構となるHippo経路が節度を持って機能していないことを示唆している。本研究は肉腫の腫瘍細胞増殖性に新たな知見を提供することができ、抗Survivin薬は有効な分子標的薬として機能する可能性が高いことが示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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