| 研究課題/領域番号 |
17H06138
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| 研究種目 |
基盤研究(S)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 研究分野 |
数理物理・物性基礎
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| 研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
初貝 安弘 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80218495)
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| 研究分担者 |
高橋 義朗 京都大学, 理学研究科, 教授 (40226907)
木村 昭夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (00272534)
岩本 敏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40359667)
福井 隆裕 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (10322009)
河原林 透 東邦大学, 理学部, 教授 (90251488)
青木 秀夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (50114351)
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| 研究期間 (年度) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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| 配分額 *注記 |
205,140千円 (直接経費: 157,800千円、間接経費: 47,340千円)
2020年度: 35,230千円 (直接経費: 27,100千円、間接経費: 8,130千円)
2019年度: 37,310千円 (直接経費: 28,700千円、間接経費: 8,610千円)
2018年度: 50,700千円 (直接経費: 39,000千円、間接経費: 11,700千円)
2017年度: 45,370千円 (直接経費: 34,900千円、間接経費: 10,470千円)
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| キーワード | バルク・エッジ対応 / トポロジカル相 / 冷却原子 / 放射光ARPES / フォトニック結晶 / バルクエッジ対応 / 角度分解光電子分光 / エッジ状態 / 力学的トポロジカル相 / コーナー状態 / トポロジカルポンプ / ワイル半金属 / 冷却原子実験 / 放射光ARPES実験 |
| 研究実績の概要 |
年度当初の2日間の組織内研究会での密接な議論に基づきバルクエッジ対応に関する以下の研究を行った。 [1]本組織関連の数学者の理論に触発されてコーナー状態を(1)量子もつれの方法と (2)機械学習の手法で新しいバルクエッジ対応の観点で研究した。(3)分数量子化ベリー位相の量子スピン系での意義を確立した。(4)3次元バネ質点系のワイル点とバルクエッジ対応を解明した。(5)非エルミート系のトポロジカル相の理論を開拓し (6)多体のチャーン数に関する新知見を得た。[2]冷却原子に関して(1)様々な原子間相互作用の系でトポロジカルポンプを行い相互作用と乱れの効果を確認した。(2)トポロジカル超流動に向けて異種原子混合量子系生成装置の準備を完了した。(3)量子幾何テンソル測定の新規実験手法の開発,人工次元を用いたトポロジカル原子レーザーの可能性の追求,高空間分解能な原子検出の準備を行った。[3]放射光ARPES実験に関して(1)テラヘルツ光パルス時間分解によりDirac表面電子の光電場での加速現象を直接観測し弾道的電子流を実現した。(2) nonsymmorphicな単結晶表面で旋回型のスピンテクスチャを観測した。(3)層状反強磁性体のバルクエッジ対応に関して表面状態の観測を行い(4)銅酸化物超伝導体のAndreev束縛状態の観測も推進した。[4]フォトニック結晶等に関して(1)カイラルな系でトポロジカル状態の偏光特性を解明し(2)バレーフォトニック結晶導波路でエッジ状態に結合した量子ドット発光の高効率伝搬を実証した。(3)フォトニック結晶でコーナー状態の実現可能性を数値的に解明し(4)完全バンドギャップが利用可能なバレーフォノニック構造を見出した。 H30年12月に4日間の国際会議(参加者84)を主催し,国際的な研究交流を行った。広島大学と京都大学にて本経費で特定准教授の雇用を開始した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
[1]理論的研究に関してバルクのトポロジカル数である(1)独自の分数量子化ベリー位相と(2)多体のチャーン数に関してPhys.Rev.Lett.誌に各1報論文を出版した。特に後者はEditors’suggestionに選定され高評価を得た。また,機械学習という現代的な新手法を研究に取りいれた。[2]冷却原子に関して,当初計画したトポロジカルポンプ実験に加えて,新に系のトポロジカルの性質を決めるベリー曲率および量子計量テンソルを実験的に測定する新たな実験手法の開発や,トポロジカルレーザー発振現象の物質波人工次元への応用に取り組む等,当初の計画以上に研究が進展している。[3]放射光ARPES実験に関して,光の1周期よりも短い時間スケールでトポロジカル絶縁体の表面ディラック電子の加速を観測した成果がNatureに掲載され注目を浴びた。また,層状反強磁性体における新たなタイプのトポロジカル相の発見についても現在評価が高い雑誌に論文を投稿中である。[4]フォトニック結晶等に関して量子ドットを有するバレーフォトニック結晶導波路の実現に関する報告に対して,国際会議論文賞が授与された。また,光以外の系への展開として,トポロジーを活用したオンチップ弾性波制御の可能性を見出すなど,当初計画を超える成果が得られた。この成果は,バルクエッジ対応の多様な系への展開を目指す本課題の今後の展開にも資するものである。 国際交流に関して,研究年度2年目にして第2回目の国際会議BEC2018X(4日間,参加者84)を開催し,数学者を招聘し多分野交流の場として初年度に増して国際的に好評を得た。 以上の具体的成果をもって当初予定より進展していると自己評価する。 なお本年度の研究協力者は,古田幹雄,井村健一郎,中島秀太,苅宿俊風,吉田恒也,本経費雇用研究者は溝口知成(H31.1.1から承継化),岩澤英明,武井宣幸である。
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| 今後の研究の推進方策 |
理論的になりがちなトポロジカル相の研究を実験的に観測可能な問題へ還元することで,バルクエッジ対応が適用可能な現象を広く探索し概念を深化させる。 [1]理論的には量子/古典の多彩な系でのバルクエッジ対応を我々が提案してきたベリー接続の理論,量子もつれの理論等を用い,数学-物理の連携,交流の下で研究を進める。また,平坦バンドやディラック分散など特異分散とトポロジカル相/バルクエッジ対応の関連を追求し,また非平衡系,電子相関,超伝導,非エルミート系など未開拓な問題にも積極的に関与することで新しい展開を目指す。 [2]冷却原子に関して,これまで取り組んできたトポロジカルポンプについてその堅牢性に関して系統的な測定を完遂し,理論との定量的な比較を行い全容を明らかにする。また,量子幾何テンソルを測定する新たな実験手法を様々な格子系に適用する。更にこれまでに準備したトポロジカルレーザー発振現象の物質波人工次元への応用,トポロジカル超流動の生成に向けた混合量子系の生成,高空間分解能な原子検出法の開発を進める。 [3]放射光ARPES実験に関して,希土類を含む物質のトポロジカル相について放射光ARPESを行い,電子相関効果とバルクエッジ対応の関係を明らかとする。継続して層状反強磁性絶縁体について研究を進め,アクシオン絶縁相の探索を行う。超伝導体表面のアンドレーエフ束縛状態やトポロジカル表面状態の観測も継続し奇周波数クーパー対形成や関連するバルクエッジ対応についての理解を深化させる。[4]フォトニック結晶等に関して,本年までの研究を継続,発展させるとともに理論グループとの連携を更に密にし,機械系や構造体などの系への展開も図り,古典系における新規トポロジカル状態の実現とその応用の可能性を探求する。 今後も国際会議開催等の国際交流を重視し国際化させるとともに国際的視点から若手育成も積極的に行う。
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