研究課題
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火山周辺の地下深部(30キロメートル付近)では、火山型深部長周期地震(火山型DLP)とよばれる、特殊な地震が発生している。この火山型DLPの物理的実体を明らかにすることは、地震活動と火山活動とを包括的に理解するという、自然科学の大テーマにおける重要な課題である。一般的に、地震の発生条件は、応力状態(局所的な力のかかり方)および物性情報(岩盤の柔らかさや断層面の滑りやすさ)に依存する。応力状態については、個々の地震の地震波解析により運動学的に地震を理解すること、物性状態については、地震波解析により地震波に含まれる地震波伝搬経路の情報を取り出すことが、有効な地震学的アプローチである。しかしながら、火山型DLPは深部で発生する小さな地震であるため、これらの解析には困難がたちはだかる。そこで本課題では基礎的研究として、応力状態の理解に結びつく「地震の運動学的特徴を抽出する新たな手法の開発」、および物性状態の理解に結びつく「雑微動に隠れた情報の抽出」に取り組んだ。具体的には、断層破壊の指向性(地震断層のずれが一方向にだけ進展すること)がドップラー効果で説明できることに着目し、破壊の時間関数と破壊の指向性とを同時に推定する手法を開発した。熊本地震を含む3つの地震に適用し、大規模・中規模地震の解析に有効であることを示した。今後は、より小さな地震へも適用できるような工夫が必要である。また、地下の速度構造を推定する手法として、雑微動解析が近年注目されている。本課題では、地震波源が限定され、速度構造が均質であると考えられる氷河に注目し、雑微動解析による地震波情報の抽出と地震波源の特定を行った。特に、地震波干渉法とバックプロジェクション法とを組み合わせることで、比較的少ない地震計のデータから雑微動源を特定することに成功した。雑微動源の分布は、雑微動を用いた地下構造推定に重要な情報となる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Geophysical Research
巻: 123 号: 2 ページ: 1631-1642
10.1002/2017jb015077
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http://asope.jp?lang=jp