研究課題
研究活動スタート支援
乳酸菌が脂質の代謝過程で産生する不飽和脂肪酸であるHYAは、腸管上皮バリア機能を制御し、腸炎発症を抑制する機能性脂肪酸として知られている。本研究は、HYAの歯肉上皮バリア機能に対する影響の解明を目的とした。結果から、HYAが歯肉上皮細胞において、歯周病原細菌P. gingivalis刺激に誘導される上皮バリア傷害を抑制すること、さらに、実験的歯周炎モデルマウスに対するHYA投与が、歯肉組織における細胞間接着分子の分解および炎症性サイトカイン発現、歯槽骨吸収を抑制することが示された。以上より、HYAが歯肉上皮バリア機能強化による歯周炎抑制効果を有することが明らかとなった。
近年のメタボローム解析技術の発展により、宿主に対して生理活性を有する機能性代謝産物の存在が相次いで明らかとなっているが、歯科分野における機能解析および臨床応用に関する報告は本研究が初めてであり、学術的意義が大きい。また、本研究は、機能性脂肪酸を用いた歯肉上皮バリア機能強化をターゲットとした新たな歯周病予防法の可能性を示した。最近の抗菌薬耐性菌の問題を鑑みると、細菌側に働きかけるのではなく、細菌に強い組織にする、すなわち上皮バリア機能を強化することによる歯周病予防法開発の社会的意義は大きい。
すべて 2019 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
Scientific Reports
巻: 8 号: 1 ページ: 9008-9008
10.1038/s41598-018-27408-y
120006546008
Journal of Periodontal Research
巻: 印刷中 号: 3 ページ: 446-456
10.1111/jre.12533
Oral Diseases
巻: 24 号: 3 ページ: 412-421
10.1111/odi.12785
Sci. Rep.
巻: 7(1) 号: 1 ページ: 6955-6955
10.1038/s41598-017-07196-7
巻: 7(1) 号: 1 ページ: 11717-11717
10.1038/s41598-017-10343-9