研究課題
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メタロペプチダーゼの一つであるナルディライジン(Nardilysin, NRDC)は、局在特異的に異なる働きをすることが分かっている。本研究では、膵におけるNrdcの役割について明らかにすることを目的とした。膵特異的Nrdc欠損マウスの膵では、アポトーシス亢進、膵萎縮、腺房導管異形成を伴う慢性膵炎が生じていた.また,Kras変異下においては、膵特異的Nrdc欠損マウスの膵は,膵腫瘍の形成が著明に促進された。このことから、膵のNrdcは膵炎発症を抑制し、膵発癌に抑制的に働くことが分かった。さらに、ヒト膵癌の一部で、NRDCが欠失していることが分かった。
膵炎の一種である遺伝性膵炎は難治性であり、遺伝性膵炎患者は膵癌を発症する確率が非常に高い。また、遺伝性膵炎患者のおよそ30%で、原因遺伝子が解明されていない。そのため、遺伝性膵炎の新規治療法の発見や発生メカニズムの解明が急務である。当研究で、マウスにおいて、膵のナルディライジンが、膵炎発症、膵腫瘍発生に抑制的に働くことが明らかになり、ヒト膵癌の一部でナルディライジンが欠失していた。このことから、ナルディライジンは、遺伝性膵炎およびそれに付随する膵癌治療の新たなターゲットとなる可能性が示唆された。
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Gut
巻: 印刷中 号: 5 ページ: 882-892
10.1136/gutjnl-2017-315425