本研究では、「①:新たな臓器欠損モデルの構築方法により、腎臓を欠損するマウスを作成する」ことと、 「②:①で作り出した腎臓欠損マウスを用いて、マウス-ラットの異種間キメラにおいてラットの腎臓をマウスの体内で作製すること」を計画している。 平成29年度には、腎臓前駆細胞欠損マウスを作成した。 まず本研究計画で選択した遺伝子が腎臓前駆細胞へ選択的に局在するかを調べるために、GFPノックインマウスラインを樹立した。ノックインは、CRISPER/Cas9 システムを用いて効率化を図ったため、従来法と比較して高効率にノックインマウスのラインを樹立することができた。その結果、選択した遺伝子は腎臓前駆細胞へ選択的に局在することが確認できた。次に、この遺伝子依存的に、腎臓前駆細胞を欠損させるため、この遺伝子のプロモーター下へ致死性遺伝子をノックインしたラインを樹立した。このラインを用いて、腎臓前駆細胞がなくなった際に、腎臓が欠失するか確認したところ、腎臓の欠損が確認されたことから、致死性遺伝子依存的な臓器欠損システムが、本研究計画において予想した通りに機能していることを確認することができた。さらに、この腎臓が欠損するマウス胚盤胞を用いて、マウスのES細胞を補完することで、腎臓がES細胞由来となることを確認することができた。 現在は、この腎臓が欠損するマウス胚盤胞を用いて、ラットのES細胞を補完することで、腎臓がラットES細胞由来となるかどうかを調べているところである。
|