根尖性歯周炎におけるIL-35による炎症制御機構の解明

• 研究課題/領域番号: 17H06896
• 研究種目: 研究活動スタート支援
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 保存治療系歯学
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 進藤 智 広島大学, 病院(歯), 助教 (90806093)
• 研究期間 (年度): 2017-08-25 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円); 2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円); 2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
• キーワード: 根尖性歯周炎 / Th17細胞 / 破骨細胞 / IL-17A / 制御性T細胞 / IL-35 / 歯根膜細胞 / 制御性Ｔ細胞

研究成果の概要

本研究では根尖歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜細胞を用いて、根尖性歯周炎において骨吸収に関与しているTh17細胞が産生するIL-17Aが誘導するIL-6およびIL-8産生に与える抗炎症性サイトカインIL-35の影響を明らかとすることを目的に実験を行った。その結果、IL-35はERKおよびNF-κB p65リン酸化を阻害することでIL-17Aが誘導するヒト歯根膜細胞からのIL-6およびIL-8産生を抑制することが明らかとなった。これらのことから、IL-35はTh17細胞が誘導する根尖性歯周組織破壊を制御している可能性が示唆された。

研究成果の学術的意義や社会的意義

近年、根尖性歯周炎における免疫応答メカニズムが明らかとなりつつある。しかしながら、根尖歯周組織構成細胞における制御性Ｔ細胞が産生する抗炎症性サイトカインであるIL-35の影響に関しては報告がない。本研究でIL-35がIL-17Aが誘導するヒト歯根膜細胞の炎症性サイトカイン産生を抑制することを明らかとした。このことは、根尖性歯周炎病変における新たな炎症制御機構の発見となった。すなわち、根尖性歯周炎に対するIL-35を応用した新たな治療法の開発への橋渡し研究へと引き継がれ、国民ならびに社会への貢献も大いに期待される。

研究成果

• [雑誌論文] Interleukin (IL)-35 Suppresses IL-6 and IL-8 Production in IL-17A-Stimulated Human Periodontal Ligament Cells. (2018)
  • 著者名/発表者名: Shindo S, Hosokawa Y, Hosokawa I, Shiba H.
  • 雑誌名: Inflammation 巻: - 号: 3 ページ: 1-6
  • DOI: 10.1007/s10753-018-0938-9
  • 査読あり
• [雑誌論文] OC-STAMP promotes osteoclast fusion for pathogenic bone resorption in periodontitis via up-regulation of permissive fusogen CD9. (2018)
  • 著者名/発表者名: Ishii T, Ruiz-Torruella M, Ikeda A, Shindo S, Movila A, Mawardi H, Albassam A, Kayal RA, Al-Dharrab AA, Egashira K, Wisitrasameewong W, Yamamoto K, Mira AI, Sueishi K, Han X, Taubman MA, Miyamoto T, Kawai T
  • 雑誌名: The FASEB Journal 巻: 32 号: 7 ページ: 4016-4030
  • DOI: 10.1096/fj.201701424r
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] IL-29 Enhances CXCL10 Production in TNF-α-stimulated Human Oral Epithelial Cells. (2017)
  • 著者名/発表者名: Hosokawa Y, Hosokawa I, Shindo S, Ozaki K, Matsuo T.
  • 雑誌名: Immunological investigations 巻: 46 号: 6 ページ: 615-624
  • DOI: 10.1080/08820139.2017.1336176
  • NAID: 120006543832
  • 査読あり
• [雑誌論文] Gomisin N Decreases Inflammatory Cytokine Production in Human Periodontal Ligament Cells (2016)
  • 著者名/発表者名: Hosokawa Y, Hosokawa I, Shindo S, Ozaki K, Matsuo T
  • 雑誌名: Inflammation 巻: 40 号: 2 ページ: 360-365
  • DOI: 10.1007/s10753-016-0482-4
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [学会発表] IL-35 suppressed IL-6 and CXCL10 productions in TNF-α-stimulated human periodontal ligament cells. (2018)
  • 著者名/発表者名: Satoru Shindo, Hideki Shiba.
  • 学会等名: 7th Hiroshima Conference on Education and Science in Dentistry
  • 国際学会
• [学会発表] Semaphorin3AはTNF-a刺激ヒト歯髄細胞のIL-6およびCXCL10産生を抑制する (2018)
  • 著者名/発表者名: 進藤 智、西藤法子、中西 惇、吉田和真、小武家誠司、本山直世、永安慎太郎、柴 秀樹
  • 学会等名: 第148回日本歯科保存学会2018年度春季学術大会(横浜)
• [学会発表] ヒト歯髄細胞の炎症性サイトカイン発現に及ぼすSemaphorin7Aの影響 (2018)
  • 著者名/発表者名: 西藤法子，進藤智，平田-土屋志津，中西惇，吉田和真，柴秀樹
  • 学会等名: 第39回日本歯内療法学会学術大会（福岡）
• [学会発表] Semaphorin3A inhibits IL-6 and CXCL10 production from TNF-α-stimulated human dental pulp cells. (2018)
  • 著者名/発表者名: Satoru Shindo, Hideki Shiba.
  • 学会等名: IADR general session, London, England
  • 国際学会
• [学会発表] Semaphorin7Aは炎症時の歯髄細胞から炎症性サイトカインの分泌を促進する (2018)
  • 著者名/発表者名: 西藤法子，進藤智，平田-土屋志津，中西惇，吉田和真，本山直世，柴秀樹
  • 学会等名: 第149回日本歯科保存学会2018年度秋季学術大会（京都）
• [学会発表] 血小板活性化因子(PAF)合成酵素LPCAT2阻害薬の難治性疼痛の発症と維持における役割 (2018)
  • 著者名/発表者名: 本山直世、森田克也、永安慎太郎、平田-土屋志津、西藤法子、進藤智、柴 秀樹、土肥俊博
  • 学会等名: 第149回日本歯科保存学会秋季学術大会（京都）
• [学会発表] IL-35はIL-17Aが誘導するヒト歯周靭帯細胞のIL-6およびIL-8産生を抑制する (2018)
  • 著者名/発表者名: 進藤 智、吉田和真、中西惇、西藤法子、永安慎太郎、本山直世、柴 秀樹
  • 学会等名: 第149回日本歯科保存学会秋季学術大会（京都）
• [学会発表] 3根管を有する下顎左側第一小臼歯に対して感染根管治療を行った一症例 (2018)
  • 著者名/発表者名: 小武家 誠司，永安慎太郎，進藤 智，柴 秀樹
  • 学会等名: 平成30年度中国・四国地区歯科医学大会（広島）
• [学会発表] Semaphorin3AはTNF-a刺激ヒト歯髄細胞のIL-6およびCXCL10産生を抑制する (2018)
  • 著者名/発表者名: 進藤 智, 西藤 法子，柴 秀樹
  • 学会等名: 平成30年度中国・四国地区歯科医学大会（広島）
• [学会発表] 根尖性歯周炎の起炎菌の同定と抗菌薬感受性 (2018)
  • 著者名/発表者名: 小園 知佳，應原 一久，北川雅恵，小川 郁子，進藤 智，西藤 法子，芥川 桂一，中岡 美由紀，水野 智仁，藤田 剛，柴 秀樹，栗原 英見
  • 学会等名: 平成30年度中国・四国地区歯科医学大会（広島）
• [学会発表] IL-35はTNF-αが誘導するヒト歯根膜細胞のIL-6およびCXCL10産生を抑制する (2017)
  • 著者名/発表者名: 進藤智、細川義隆、細川育子、尾崎和美、柴秀樹、松尾敬志
  • 学会等名: 日本歯科保存学会2017年度秋季学術大会